東京都現代美術館エントランス・スペース・プロジェクト<ガシュウ君とぼく>

会期:2009年10月31日~2010年6月20日
場所:東京都現代美術館エントランス

2008年に上野の森美術館で開催された「井上雄彦 最後のマンガ展」の好評を受け、東京都現代美術館より依頼されたプロジェクトです。

<東京都現代美術館のリリースより>
井上雄彦<ガシュウ君とぼく>は、東京文化発信プロジェクト事業の一環として制作され、井上の作品としてはこれまでで最大のものとなります。2008年に開催された「井上雄彦 最後のマンガ展」(上野の森美術館他巡回)では、空間を大胆に構成し物語を描き下ろした展示が話題となりましたが、今回はその大きさと暗示的な内容により、同展とは異なる実験的な作品となっています。

描かれているのは、現在も執筆中のコミック「バガボンド」の主人公である宮本武蔵。有名無名の武芸者に闘いを挑み、相手を倒すことで強くあろうとする武蔵の葛藤が映し出されています。また、大型の壁画に至るまでには絵とセリフが描かれた14枚のスタンド型パネルやバナーを配し、井上は武蔵の心象をより明確に浮かび上がらせました。これは、作品はあくまでマンガであるという井上ならではの空間構成です。

壁画は、和紙を貼ったパネルに墨と筆、刷毛によって描かれています。高さ7.4m、幅6mにも及ぶため、作画中はパネルを床面に設置し、井上はその上に乗り描いています。また、制作中は天井に設置したカメラによって撮影された映像をモニターで見る以外には全景を確認する手だてはなく、広大な和紙の上に、身体的な感覚を頼りに武蔵の全身像を描き上げました。